<Liver trial>
「埃が凄いですね」
流石に誰も出入していない事が見た目で解る。
埃がない所はない!とでも言いそうな勢いだ。
「やっぱり心霊スポットみたいになってるんだね」
が床をライトで照らす。
無数に残る靴の後から自分達と同じ様に此処に進入しに来た者が居る事は一目瞭然だ。
「すげぇな」
蜘蛛の巣だらけの天井を照らすと金持ちが住んで居たと思われる形跡。
大きなシャンデリアが残っている。
玄関付近で此処までの造りだ。
他の部屋に行けばきっともっと他にも凄いものは有るに違いない。
「まぁ、俺様の家には負けるな…なぁ樺地」
「ウス」
今更なので跡部の自宅自慢は放置プレイである。
樺地以外構う者は取敢えず居ない。
「先ず、こう言う時って上の部屋を片っ端から行くよね」
嬉しそうに階段を見詰め鳳の腕を引く。
「先輩は恐くないんですか?」
普通の女子ならば怖がって足が竦むだろう。
が、の足は軽やかに進む。
「怖いかも?けど好奇心が勝ったの」
にとって鳳はお気に入りの一人である。
鳳に質問されれば幾ら忍足に酷い答えを返しても素直に答える。
芥川にも同じだ。
「ま、こんなので怖がってたら激ダサだけどな」
詰まらなそうな宍戸は鳳・に続き階段に向かって歩き出す。
「誰が一番最初に逃げ出すか勝負するか?」
小さめのペンライトを持った跡部が挑発的に笑った。
「ええやん、やろか?」
跡部の挑発に乗った忍足は一番最後に階段を上り出した。
2階
奥の客間
「此処は客間ですかね」
シングルベッドが1つシーツを掛けた状態で置かれていた。
他には特に変わった物も無ければ気になる物も無かった。
「引き出しとかにも何も無いし」
ドアを閉めて客間を出て行った。
客間
「此処も客間みたいだな」
今度はシングルベッドが2つ少し距離を置いて並べてあった。
サイドテーブルの引き出しにも、置いてあるクロゼットにも何も無い。
「おいコレ」
跡部が見付けた物は走り書きのメモだった。
埃や長い間放置してあった為か文字は殆ど読めない。
それを持ち、客間を出て行った。
「次は此処」
以外に部屋数は少なかった為2階は後2部屋だけだった。
「此処は女の人の部屋みたいね」
色褪せてしまっているが淡い桃色で統一された家具。
ベッドカバーには少しだけフリルが付いていた。
その上には置き去りにされた熊のぬいぐるみ。
「女の子って感じやな」
この部屋にも何の収穫は無かった。
「この階は後此処だけだな」
ドアを開けるとベッドが2つあった。
客間の物よりも距離は無く綺麗なシーツが敷かれた儘だ。
「夫婦の寝室ってとこか」
「見てみて」
がサイドテーブルで写真を見付けた。
其れは仲の良さそうな家族写真だった。
女の子の部屋にあった熊のぬいぐるみを抱えた幼い少女。
優しく笑う母親と思わしき女性。
女性と少女を労りの眼で見詰る男性。
どの人物の物も顔だけはハッキリと見えなかった。
はその写真を手に持ち6人は1階の部屋へと向かった。
先程上って来た階段を今度は下る。
1階も其処まで部屋は無い筈だ。
此処には3人で暮らして居たらしい。
「ちゃんとみんな居るよね?」
階段を下りながら訪ねるとちゃんと全員居る。
此の儘賭けは引き分けで終わりそうである。
「つまらんわぁ、負ける奴居らんの?」
「ならお前が負けろ、忍足」
後ろから厳しい一言を放ちた跡部はふと立止まった。
「跡部さん…」
立止まった跡部を不思議に思い樺地が声を掛ける。
「………」
「如何かしたの?」
跡部の異変に気付き声を掛けるが跡部はなんでもないと言って階段を降り切った。
1階
ダイニング
「やっぱり綺麗」
埃を被っていても蜘蛛の巣が張っていても綺麗な物はやはり輝かしい。
「そうだな」
「特に此れと言って…」
再びダイニングを1周すると先程までは綺麗に整頓されていた筈の椅子が1脚まるで人が座っているかの様に引かれていた。
「宍戸さんあれ……」
「き、気のせいだよなぁ忍足」
忍足達が居た所を振り返ると食堂には宍戸・鳳の他に誰も居なかった。
ダイニングに入ってから一緒に喋って居たも…。
リビング
「広いなぁ…」
無駄な物は一切置かれていない。
全て綺麗に片付けられている。
きっと昼間は日が射し込むのであろう。
窓が大きめに造られている。
「ねぇ…」
隣に立っているが忍足の服の袖を掴む。
「なんや、怖なったか?」
茶化す様に笑う忍足には真剣な顔をした。
「みんなが居ない…」
一緒にリビングに入ったのに何時の間にか周りには人が居なくなってしまった。
忍足とだけを残し。
書斎
「此処は書斎みたいだな樺地」
「ウス」
跡部の興味ある書物が沢山置かれていた。
机の上に無造作に置かれている本を一冊手に取って開いてみる。
其処には先程2階で見付けた写真とは別の家族写真が挟まっていた。
何だかそんなに長くない文章なのに態々区切ってます…。
申し訳ないです。
何となくホラー小説?にしようかと思ったんですけど出来るか如何か…。
ちゅーかやっぱりどんなに頑張っても七夕には繋げられない…?
後どれ位になるかなぁ…(ヲイ
2005/07/08